新しい通信規格5Gは生活やビジネスに大きな進歩をもたらすとして話題になっています。しかし、5Gとは具体的にどのようなものなのか「実はよく知らない」という人もいるのではないでしょうか。本記事ではそのような人に向けて、5Gと4Gの違いや5Gと光回線の違いから、5Gのメリットや注意点、展望について解説するので、ぜひ参考にしてください。
5Gとは
通信規格につく「G」はGeneration(世代)のイニシャルです。5G(ファイブジー)は第5世代移動通信システムを意味します。1980年代以来、移動通信ネットワークは1Gから2G、3G、4Gと進化を続け、ついに5Gに至りました。
1G |
1980年代に登場 アナログの通信規格で音声通信のみ可能 |
2G |
1993に年登場 通信規格のデジタル化とデータ通信が開始され、テキストデータができるようになった |
3G |
1999年に世界基準の高速通信規格が登場 10M~20Mbpsの高速通信が可能 |
4G |
2010年代に速度100M~1Gbpの高速化技術「LTE」が登場 スマートフォンが快適に使える通信環境が整備された |
5G |
2020年に実用化された超高速通信規格 通信速度は下りで最大10Gpsと4Gの約10倍に スマートフォンだけでなく、大容量のデータ通信を行うさまざまな電子機器も快適に使用できる |
5Gと4Gの違いとは
両者のおもな違いである「超高速」「多数同時接続」「超低遅延」の3点について、それぞれ解説します。
超高速(eMBB)
5Gの特徴として、高速化技術LTEを使用した4Gと比べても通信速度が圧倒的に高速であるという点があります。4Gの通信速度は最大でも1Gbpsです。一方、5Gの最大速度は10Gbpsと、まさに、4Gの10倍に相当する超高速です。4Kや8Kといった高精細映像も超高速で伝送できるようになったため、遠隔医療などへの活用も期待されています。
多数同時接続(mMTC)
5Gの提供開始により、同時に接続できる機器の台数も大幅に増加しました。1平方キロメートルあたり100万台が接続できるとされており、4Gの接続台数のおよそ100倍です。接続できる機器はスマートフォンにとどまらず、スマート家電や自動運転車など、さまざまなIoT機器に接続可能です。
超低遅延(URLLC)
データの伝達がほとんど遅延しないことも5Gの大きな特徴です。データ通信を開始してから受信するまでに発生する遅延はわずか1ミリ秒程度とされており、遅延を4Gの10分の1まで削減できます。これにより、自動運転自動車や医療、建設などに使われる機器の遠隔操作をリアルタイムに実行することが可能です。
5Gと光回線の違いとは
主な違いである「通信速度」「利用料金」「導入工事の要不要」「有線接続の可不可」について解説します。
通信速度
一般消費者向け光回線の通信速度は100Mbps(0.1Gbps)~1Gbpsです。一方、5Gの最大速度は10Gbpsなので、5Gは4Gの10倍から100倍、通信速度が速いということになります。光回線でもオンラインゲームや4K・8K 動画などを十分に楽しめますが、5Gではさらに快適に大容量のデータを使用するコンテンツを満喫できるようになるでしょう。
※参考:各ブロードバンドの概要及びメリット・デメリット|総務省
5Gは導入工事が必要なく持ち運びできる
光回線は固定回線のため、利用に先だって導入工事が必要です。つまり、契約してからも導入工事が完了するまでは利用を開始できません。一方、5Gはモバイル通信なので導入工事は不要です。光回線と違って工事の完了を待つこともなく、契約すればすぐに利用を開始できます。また、5G対応エリア内であれば、どこでも機器を持ち運んで5G利用が可能です。
5Gは有線接続ができない
光回線はインターネットを利用する機器と有線接続すると、かなり安定した通信速度を保てます。一方、5Gは電波を利用するため有線接続に対応しておらず、電波状況によっては通信速度が安定しない場合があります。電波状況に左右されない通信環境を確保したい場合は、光回線の有線接続が有利です。
このように、5Gと光回線にはそれぞれの特徴とメリット・デメリットがあります。そのため、5G普及後も光回線と併用したほうがいいでしょう。
5Gがもたらすメリット
主な3つのメリットは「インターネット環境の向上」「IoTの普及」「精密な遠隔操作の実現」です。それぞれについて以下で解説します。
インターネット環境が快適になる
5Gにより、通信速度の超高速化、多数機器の同時接続、超低遅延などが実現し、インターネット環境のスペックが大きく向上します。回線が混雑すると速度が低下してデータのアップロードやダウンロードの完了まで待たされ、イライラさせられることが4Gの課題でした。
5Gでは、その症状が軽減します。Web会議など遠隔地間のやり取りもリアルタイムになり、ビジネスも生活もより便利になるでしょう。
IoTの普及が広まる
IoT(Internet of Things)とは「モノのインターネット」で、身の回りにあるすべてのモノがインターネットにつながることです。IoTが普及すれば、スマート家電や環境モニタリングなどインターネットやセンサーを活用して操作できる便利なモノが増えます。そのため、IoTの普及は生活を便利にします。
5G環境下ならスマートフォン経由でIoTを一括管理することも可能です。5Gでは同時に接続できる機器数が多いため、複数のIoTにも対応できるようになります。
自動運転や遠隔医療などの精密操作が可能になる
データ伝達の遅延が1ミリ秒程度と非常に少ないことが5Gの特徴です。そのため、リアルタイムに精密な操作が必要な遠隔作業などに5Gは向いています。
リアルタイムの道路状況に対応すべき自動運転や、患者の状態に応じた対応が必須の遠隔医療は通信の遅延が人命にかかわります。こういった分野の発展に5Gが寄与するのではないかと期待が寄せられています。
5Gにおける注意点
主な注意点である「利用エリア」「対応端末」「新たなサイバー攻撃対策」の3つについて、以下でそれぞれ、解説します。
利用可能エリアが少ない
5Gを利用できるエリアはまだまだ限定されており、全国どこでも利用できるわけではありません。
また、5Gは周波数が高いだけに障害物の影響を受けやすく、広範囲のカバーが困難といわれています。したがって、だれでも5Gを利用できるエリアが4Gほど拡大することはないかもしれません。
病院やスポーツスタジアムなど5Gの必要性が高い場所に用途と利用者を限定してピンポイントで特定基地局を設ける形(ローカル5G)で対応エリアが広がっていくとみられます。
5G対応端末は限られている
日本においては2019年が5G元年とされており、スマート機器のメーカーが5G対応端末を発売し始めたのは2020年頃からです。2020年以降に発売された端末のすべてが5Gに対応しているわけではなく、5G対応端末はまだ限られています。
新たなサイバー攻撃対策が必要
5Gの活用によってインターネットに接続する機器が増えれば、サイバー攻撃の対象も増えることになります。また、総務省の「IoT・5Gセキュリティ総合対策」では、5Gのサービス開始に伴い、新たなセキュリティリスクの発生も指摘されています。
自動運転車や遠隔手術など、精密な操作が欠かせないものがサイバー攻撃にあえば、甚大な被害をもたらすでしょう。IoTが発展すれば便利になりますが、そこに付随するリスクへの対策を怠ってはなりません。
5Gで今後何が変わるのか
5Gにより、仕事のスタイル、災害対策、生活の便利さなども変化が生じるといわれています。それぞれ詳しく解説します。
仕事の仕方が変わる
農業や建設業などでは高齢化による人手不足が問題となっています。しかし、現段階では現地に行かなければ作業ができないような仕事も、5Gが整備されれば、自宅から遠隔操作で作業ができるようになるでしょう。他の業種においても、すべて自宅から作業ができるようになり、仕事のスタイルが変化するとみられます。
災害に強くなる
5Gが整備されれば、災害発生時でも、現地に設置された映像センサーなどからリアルタイムの情報を収集できます。それによって、災害の状況を把握したり安全な避難経路の提案をしたりすることはもちろん、救助者の二次災害防止も可能です。また、ドローンで被災者の救助もできるようになるでしょう。
生活が便利になる
公共交通機関が整備されていない地方都市などでは車がないと生活が不便ですが、高齢のために運転免許を返納した人は、買い物や通院にも苦労します。5Gが普及すれば、地方都市で暮らす高齢者が自動運転の車を利用したり、遠隔医療を受けたりすることが可能です。
また、レジを通過するだけで会計が完了するなど、買い物にかかる時間や労力の軽減につながるなど、生活のさまざまなシーンで利便性が向上するでしょう。
まとめ
5Gの特徴は超高速・多数同時接続・超低遅延です。それによって、インターネット環境の快適化やIoTの普及、精密な遠隔作業が可能になります。生活やビジネスにおける利便性の向上が期待できる一方、利用エリアが少ない、5G対応端末が限定される、サイバーセキュリティ対策の強化が必要といった課題も少なくありません。利用料金の高さも要注意です。
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