更新日:2024年12月27日
昨今、ショッキングな事件や事故をテレビやネットニュースで目にすることが増えています。
SNSは本名を明かすことなく、匿名で発言できるため、誹謗中傷が起こりやすいといわれています。この記事では、ネット上の誹謗中傷に関して、その特長や原因・誹謗中傷に巻き込まれないための対策や、万一巻き込まれてしまったときの心構えなどを解説します。
※なお、本記事は一般的な情報提供を目的としており、具体的な法的アドバイスではありません。個別の事案については、専門家(弁護士等)にご相談ください。
誹謗中傷とは
そもそも誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)とは、どんなことを指すと思いますか?
「Aはキモい」
「〇〇さん、久し振りにテレビで見たけど劣化した?」
「あの店のスタッフ、〇〇さんの接客対応はひどい」
このような内容は、誹謗中傷にあたります。
まずは、誹謗中傷について知るためにも、誹謗中傷がどのように定義され、法律上でどのように扱われるかや、誹謗中傷とよく似た行為の違いについて知りましょう。
誹謗中傷の定義
新語時事用語辞典によると、「誹謗中傷」とは、次のように定義されています。
誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)とは、根拠のない悪口を言いふらして他人の名誉を損なう行いのことである。
「誹謗」は「人の悪口を言う」ことであり、「中傷」は「根拠のない内容で人をおとしめる」ことです。
誹謗中傷は対象者の名誉権を侵害するものであり、言葉の暴力とも呼ばれます。
誹謗中傷と批判の違い
否定する行為に「批判」があります。「批判」は「誹謗中傷」と、どのように違うのでしょうか?
デジタル大辞泉によると
「批判」は善悪や正誤を見定めた上で指摘することであり、必ずしも悪意が含まれるとは限らない。
とあります。
批判の説明に、「指摘」という言葉も出てきたので、こちらも意味をみてみましょう。
「指摘」とは、人の言動・仕事などの誤りや欠点を指摘し、正すべきであるとして論じることです。
使用例として「周囲の--を受ける」「政府を--する」のように使います。
つまり、誹謗中傷と批判の違いは、その目的の違いにあります。
誹謗中傷は、悪意を持っていって、「相手をおとしいれる」ことが目的としてあります。もっと踏み込むと、相手の人格や外見・性格・特徴など「その人そのもの」について否定的な発言をすることです。
一方、批判には、悪意は必ずしも含まれません。相手の行動や発言に対して異なる意見を主張をし、「正す」という目的があります。
誹謗中傷の法的位置づけ
最近は誹謗中傷に問題があるという認識は高まりつつあるものの、罪に問われるということを知らない方もいると思います。大きくは2つあり、刑事罰と民事罰に問われることがあります。では、具体的にみてみましょう。
刑事罰
実際は、「誹謗中傷罪」そのものを罰する法律はありません。人を傷つける行為によって「名誉毀損(めいよきそん)罪」「侮辱(ぶじょく)罪」に問われることがあります。
名誉毀損(めいよきそん)罪
刑法230条
「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者」を3年以下の拘禁刑、または50万円以下 の罰金に処する。
つまり、名誉毀損は、具体的な事実を書いて、人の評判を傷つけおとしめる行為ということです。
たとえば、
・A料理店に行ったら、料理に虫が入っていた。
・Bさんが昨日窃盗をしたらしい。
このように、いつ、どこで、何をしたのかなどを具体的に示して相手の評判を下げる(刑法に書かれている事実を摘示の意味)場合です。
名誉毀損が適用されると、最大で3年以下の拘禁刑(または罰金)が科せられます。
(拘禁刑とは、犯罪を起こした方に対して刑務所または少年刑務所への収容・拘束を行う刑のひとつです。 拘禁により犯人を社会生活から隔離する自由刑にあたり、改善更生のために必要であれば、作業を行わせたり、指導をすることもできます。※2025年6月から懲役と禁固刑が拘禁刑に1本化されます。)
侮辱(ぶじょく)罪
刑法231条
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に処する。
侮辱罪は、具体的な事実を示さずに人を傷つける行為です。
たとえば、
・〇〇さんはバカだ。
・〇〇くんはキモい。
といった、いわゆる、悪口をいうことが侮辱にあたります。
侮辱罪は1年以下の拘禁刑 (又は30万円以下の罰金・拘留・科料)に処されます。
両方の罪の共通点は、「多くの人に広まる形で(刑法に書かれている公然の意味)」ということです。SNSやネット上での書き込みや投稿は、不特的多数の人が見る状況であるためにこの条件にあたります。
ここで注意点は、書き込んだ内容が事実だったとしても罪に問われる場合があることです。
脅迫(きょうはく)罪
刑法222条
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
脅迫罪は、相手の命や健康を脅かすような発言が該当します。インターネット上で殺害やケガを負わせるとほのめかす言葉を使うと、脅迫罪となります。脅迫罪は、他人の目が届かないメールやチャットなど1対1のやりとりも対象です。たとえば、LINEやSNSのダイレクトメールでも脅迫罪は成立します。
脅迫罪は、名誉毀損や侮辱罪と違い、被害者による訴えがなくても罪となる点も特長的です。
民事罰
民事罰は、損害賠償責任を負うということです。民事罰の目的は、個人間で生じた損害や争いを解決し、被害者への賠償を促すことです。主に、民間の人々や企業間での争いに関わります。たとえば、相手に精神的な苦痛や、金銭的な被害を合わせた場合、その分の賠償金を支払わなければなりません。これを民事上の責任といいます。
ネット上の誹謗中傷が名誉毀損にあたる場合、まずは誹謗中傷を行った人物の特定が必要です。特定ができれば、相手に対して慰謝料請求をおこなうことができます。
慰謝料請求と聞くと、裁判を想像する人もいますが、まずは相手との話し合いから始めることが多いです。相手と話し合いながら、双方の合意できる点を決めていくことを「示談」といいます。仮に合意に至らない場合、損害賠償請求という形で訴訟へとつながります。
法律で処置できる誹謗中傷
SNSにおける発言の多くは匿名でなされるため、発言の責任を追及されるおそれはないと思い込んでいる人も少なくありません。しかし、被害者が個人を特定するために民事訴訟を起こしてSNS管理者やプロバイダに発信者情報の開示請求を行うなど、SNSの誹謗中傷に対する取り組みも始まっています。
SNSでの誹謗中傷については法的責任が問われ、刑事罰になる場合もあります。罪名は名誉棄損や侮辱罪、脅迫罪や強要罪、信用棄損罪や業務妨害罪、著作権違法などです。たとえ犯罪にはならないとしても、民事で訴えられて、損害賠償や名誉回復措置などを要求される可能性もあります。
SNSにおける誹謗中傷の特徴
SNSとは、Social Networking Service(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のことです。友だちなどとつながって、文章や写真、動画などで自分を表現したり、コミュニケーションするサービスのことです。SNSサービスのサーバに文章や写真、動画などを投稿すると、世界中の人に見てもらうことができます。
参考:総務省ホームページ
ここからは、代表的なSNSとその特徴をみてみましょう。
SNSで誹謗中傷が起きやすい理由
SNSで誹謗中傷が起きやすい理由は大きく4つのポイントがあります。
1:匿名性
SNS上で誹謗中傷が起きやすい大きな理由のひとつが匿名性、つまり本名を伏せて発信できることです。匿名は気軽に発信できる反面、誰なのかバレないだろうという気持ちを抱きやすくなります。直説面と向かっては言わないため、普段はいわないような攻撃的な言葉が発信されやすくなり、ストレスのはけ口になりやすいといえるでしょう。とくに、企業や有名人に対する誹謗中傷が起きやすいのは、自分に直接の利害関係がないことや、立場的に下手に出ざるを得ないという関係性を悪用しているとも言えます。
2:拡散性
SNSは不特定多数の人がみることができます。一言の発言だとしても、あっと言う間に世界に発信してしまいます。あまりにも気軽に発信できてしまうため、世界に発信しているという感覚が薄れます。
SNSを介して急速に拡散した例として、2020年の新型コロナウイルスの流行初期、日本でトイレットペーパーの買い占めが起こった際、SNSで「トイレットペーパーがなくなる」という投稿がいくつか流れ、それがデマとして拡散されたケースが記憶に新しいのではないでしょうか。このデマが原因で、ドラッグストアやスーパーなどにトイレットペーパーを買い求める人が殺到し、実際にトイレットペーパーが一時的に品薄状態になりました。
3:集団心理
集団心理が働きやすいのも大きな要因のひとつです。誰かが発信した内容に「みんな言っているから」と気軽に後乗りし、1人では発言を控えるような過激な投稿をしてしまうケースがよく見られます。
4:SNSの利用時間増加
総務省が2020年に実施した調査によると、SNSの利用時間は2012年から2018年までの7年間で4倍まで増加しています。それに伴って「違法・有害情報相談センター」への相談件数も高まるばかりです。
特に、10代後半の若者は大半がSNSを利用しているだけに、誹謗中傷に巻き込まれるリスクは大きいといえます。利用者の多いSNSで誹謗中傷を受けると、若者にとって「みんなに見られる場所で自分を否定された」という深刻な事態です。
参考:SNS上での誹謗中傷への対策に関する取組の大枠について|総務省
主なSNSプラットフォームでの誹謗中傷の傾向
ここからは代表的なSNSの特長と、特長を基にどんなことが誹謗中傷となりやすいのか、その傾向をみてみましょう。
LINE
MMD研究所における、2022年12月のスマホ・ケータイ所有者のSNS利用動向についての調査結果では、日本におけるLINEの利用率は86.8%でした。
参考:MMD研究所「2022年版:スマートフォン利用者実態調査 第1弾
LINEは今、最も普及しているSNSの一つと言っても過言ではないでしょう。
LINEのやりとりで、相手個人から誹謗中傷を受けることも十分考えられますが、LINEは、個人間のやり取りであるので、必ずしも「公然の場」ではありません。複数人のグループの中だとしても公然の場にはならない可能性があるため、注意が必要です。
公然の場と認められる可能性が高いケース
・LINEオープンチャット
グループとは異なり、友だち追加している相手でなくても、不特定多数の人が参加できるものに投稿した場合
・LINEの対個人やグループでの投稿を、公然性が認められるサイト(Twitterの公開アカウント、Instagramの公開アカウント、ネット掲示板など)に投稿した場合
・LINE VOOMで、公開範囲を「全体公開」で投稿した場合
LINEは誹謗中傷等対策に向けた取り組みとして、オフラインでは、インターネットリテラシー向上のための啓発活動、オンラインでは、LINE Safety Center「LINEの安心安全ガイド」にて、禁止されている行為をはじめ、投稿に関するルールや利用上の注意点をまとめ、周知しており、オンライン、オフラインを組み合わせた取り組みを行っています。削除に関するポリシーの明示、モニタリングおよび問い合わせ体制の充実させるなど、万一誹謗中傷が起こっても迅速な対応ができるよう、その体制を整えています。
参考:総務省「プラットフォームサービスに関する研究会」誹謗中傷等対策に向けたLINEの取組み
Youtube
Google社が運営するYouTubeの利用者数は、世界で23億人とも言われ、国内では7,120万人(2023年5月時点)います。自分の動画を気軽に投稿することができ、音楽・学習方法・スポーツなど、あらゆる種類の番組を無料で視聴することができます。
投稿された動画に高評価や低評価などをつけたり、コメントをすることができます。
Youtubeで誹謗中傷が起こる場合、2パターンあると考えられます。
1:Youtubeの出演者が、動画内で特定の他者や企業を誹謗中傷する場合
ゴシップのように他者のプライベートな内容や企業秘密をリークするケースがあります。
2:動画のコメント欄で動画の投稿主を誹謗中傷する場合
動画のコメントをする箇所もあり、自由にコメントを送ることができ、不特定多数の人もそのコメントをみることができます。動画に対して、見ている人同士で会話する感じでコメントすることもあり、それが誹謗中傷となることもあります。
YouTubeでは誹謗中傷や嫌がらせに対して、コミュニティガイドラインを設置し厳守しています。また、モデレーション機能の強化、AIを活用した自動検出など、さまざまな対策を講じているだけではなく、嫌がらせや誹謗中傷を防ぐための専用ツールを提供しています。コメント欄の管理ツール、ユーザーからのブロック、個人を特定できる情報の取り扱いを制限するオプション等、ユーザーが安心してコンテンツを楽しめるようにするための仕組みを整えています。
参考:YouTubeの取り組み
2024年6月に総務省が発表した、令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書によると、Instagram利用率は全世代で50%を超え、主要SNSの中でも多くの人に利用されている拡散能力が高いSNSです。手軽に動画や写真をアップできることが人気の要因の一つです。動画や写真は容姿や生活がわかりやすく、そのことで誹謗中傷が起こることも少なくありません。コメント機能もあり、名前を伏せて投稿することができます。動画や画像にコメントが直接紐づいてしまい、匿名者の誹謗中傷が集中してしまうこともあります。
Instagramには、「公開」と「非公開」にできる機能があります。「非公開」では限定した人しか投稿をみることができませんが、「公開」では不特定多数の人が投稿情報をみることができる状態にあるため、「公然の場」とされる可能性が高いです。
参考:令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書
X(旧:Twitter)
「つぶやき」といえば「X」を思い浮かべる人も多いでしょう。日本で 6,600万人の利用者(2024年11月時点)がいる拡散力の高いSNSです。投稿は140文字以内(無料版の場合)という制限があることで、気軽に投稿できます。ちょっとした日常の出来事や思いついたことを、深く考えずに発信できるのが特長です。匿名性が高く、一方的にフォローできる機能もあります。気軽につぶやけるゆえに、誹謗中傷が集中しやすいことでもあります。
TikTok
動画に特化したSNSとして人気があるTikTokは、15秒〜60秒の動画で用意された音楽に合わせて唄ったりやダンス踊ってを編集し投稿することができます。
Youtubeとの違いは、アプリ自体に動画編集機能がついており、かんたんに動画編集・投稿ができる点、短い尺度の動画のため、視聴する側も見やすく、結果、よりたくさんの人に見られる傾向があることです。閲覧数の増加により、多くの"いいね"がつく可能性が高くなります。
また、コメント数が多いほど、動画の評価が上がります。動画の評価が上がると、視聴者におすすめ表示されやすくなり、より拡散性しやすくなります。
コメントは、本名を伏せて投稿できるため、何を言っても大丈夫と言う安易な気持ちになりやすくなります。
全世代での利用率が上昇傾向にありますが、とりわけ10代の利用率が70%と突出しています。
参考:令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書
SNSにおける誹謗中傷の数は増加傾向にある
法務省の支援事業「違法・有害情報相談センター」とはインターネット上で誹謗中傷や名誉棄損などのトラブルが発生したときに被害者が相談できる機関です。違法・有害情報相談センターに寄せられた相談件数は年々、増加する傾向にあります。2019年の相談件数は平成22年(2010年)の4倍となる5,198件に及びました。
相談件数が増加傾向にある要因の1つに、誹謗中傷への認識の相違があると言えます。誹謗中傷のコメントをすることだけでなく、そのコメントに対して「イイね」をすることも、誹謗中傷を助長していることになる可能性があるということを忘れないようにしましょう。
参考:総務省発表、令和元年度インターネット上の違法・有害情報対応相談業務等請負業務|違法・有害情報相談センター
誹謗中傷の影響
誹謗中傷は、被害者や社会にどんな影響を与えるでしょうか?
誹謗中傷を受けた人の心理的影響
誹謗中傷を受けた人に及ぼす影響について解説します。
もし、SNS上で不特定多数の人から、投稿に対して傷つくような内容のコメントが入ってきたら、それを見た投稿者は、大勢から攻撃されているような気持ちになり、孤独感や疎外感を受けることになります。さらに、「ネットではよくあること」と思い込んで、自分が受けているダメージに気づかないまま、心の傷を抱え込んでしまうことがあります。心の傷はやがて、精神疾患につながるリスクがあります。
社会的影響と問題点
誹謗中傷の投稿に対して早めの対応をしないと、その内容は急速に広がっていきます。SNSでの拡散だけでなく、Googleなどの検索エンジンにも表示され続けることになります。検索結果に残った内容は、削除申請などの適切な対応を取らない限り、半永久的にインターネット上に存在し続けることになります。これをデジタルタトゥーと呼んだりもします。
個人の場合、インターネット上の悪評は就職活動の大きな障害となったり、職場での評価を下げたりする可能性があります。個人の力で解決しようと思っても、なかなか難しい問題となります。
企業が誹謗中傷を受けた場合は、悪いイメージがついてしまい、売上が下がるだけでなく、株価が下がるなど対外的な問題だけではなく、社員が辞めてしまう、優秀な新入社員が入ってくれないといった問題に広がり、やがては倒産に追い込まれるなど多大な影響が生じてしまいます。
今、ネット上の誹謗中傷は、深刻な社会問題となっています。総務省が委託運営する「違法・有害情報相談センター」の集計によると、センターに2015〜22年度、寄せられた相談件数は毎年度5,000件を超えています。2022年度の相談件数は5,745件で、うち「削除方法を知りたい」という相談は3,852件に上っています。
誹謗中傷への対処方法
誹謗中傷の被害を受けた時はどうすればいいのか、対処方法についてご紹介します。
個人でできる対策
証拠を保存しましょう
仮に、法的な訴えをする際には、記録は役に立ちます。
証拠を残す一番かんたんな方法はスクリーンショットによる保存です。誹謗中傷の画面をそのままスクリーンショットし、保存することで日時と内容が入り、被害状況を説明しやすくなります。
スクリーンショットは、下記のようにします。
iPhoneの場合
サイドボタンとホームボタンを同時に押して、手を離します。
Androidの場合
音量を下げるボタンと電源を同時に押して、手を離します。
ミュートやブロック(コメントが入ってこれない状況にすること)をしましょう。
見えない状況を作ることで、攻撃から守ることができます。
SNS各社投稿の削除を依頼しましょう
SNS各社は誹謗中傷対策として、かんたんな通報・削除依頼の仕組みを用意しています。
1.投稿の通報
・問題のある投稿の近くにある「...」や「稲妻」などのマークをタップ
・「報告」や「通報」を選択
・誹謗中傷などの違反内容を選択して送信
2.削除依頼
・SNS運営会社の削除依頼フォームにアクセス
・問題の投稿のURLや内容を記入
・削除を希望する理由を説明して送信
3.対応の流れ
・運営会社が内容を確認
・利用規約違反と判断された場合は投稿が削除
・深刻な場合は投稿者のアカウントも停止
削除依頼後の対応は、SNS運営会社の判断に委ねられます。削除依頼をしたからといって、必ずしも削除されるわけではありません。ミュートやブロック、削除だけでは解決しない場合、匿名の発信者を特定して、損害賠償を行うことも可能です。発信開示請求を行いたい場合は、弁護士に相談するといいでしょう。
参考:総務省ホームページ
プラットフォーム提供者の取り組み
各SNSプラットフォーム提供者はどのような取り組みをしているのでしょうか?
LINE
LINE セーフティセンターでは、誹謗中傷防止の取り組みを公表しています。特に、オープンチャットの投稿基準などを掲載しています。
LINE の投稿基準(*) ︓ https://linecorp.com/ja/safety/contributionStandard
LINE の各サービスに共通する投稿基準 LINE オープンチャット安⼼・安全ガイドライン︓ https://openchat-jp.line.me/other/guideline
Youtube
コメント削除の方法
1.YouTube にログインします
2.報告するコメントが含まれる動画に移動します。
3.コメントの横にあるその他アイコン [報告] をクリックします。
4.コメントを報告する理由を選択します。
5.[報告] をクリックします。
省略可: クリエイターは、コメントを報告した後、自身のチャンネルにそのユーザーのコメントが表示されないようにすることができます。[チャンネルでユーザーを非表示にする] チェックボックスをオン [OK] をクリックします。
自分のコメントが誤ってスパムであるとマークされた場合
コメントが誤ってスパムとしてマークされたと思われる場合は、動画をアップロードしたユーザーに連絡し、コメントを元に戻すよう依頼することができます。
引用・参考: Youtubeホームページ
Instagramは、ホームページで呼びかけを行い、誹謗中傷防止の機能を追加しています。
下記は、代表的な機能です。
コメントの警告
相手を不快にさせかねないコメントを投稿しようとした利用者には、コミュニティガイドラインに従うよう注意喚起し、コメントを投稿しても削除または非表示になる可能性があることを知らせる警告を表示しています。
タグとメンションのコントロール
コメント、キャプション、ストーリーズでのタグ付けやメンションを許可する人の設定を、[すべての人]、[フォロー中の人のみ]、[誰にも許可しない]のいずれかから選択できます。
制限
他の利用者を制限すると、あなたの投稿に対するその人のコメントは、その人にしか表示されません。あなたは、[コメントを見る]をタップしてコメントを表示するか、コメントを承認して誰でも見ることができるようにするか、コメントを削除するか、コメントを無視するかを選択できます。制限されたアカウントの利用者は、送信したDMが既読であるか、送信相手がInstagramで現在アクティブであるかを知ることはできません。制限しても、相手には通知されません。
引用・参考:Instagramのいじめ防止の取り組み
X(旧:Twitter)
強制的対応の適用レベルと適用範囲として公表し、さまざまな機能をつけて取り組んでいます。下記はXの公式ホームページ内に公表されている取り組みの一部です。
広告に隣接して表示されるツイートからの当該ツイートの除外
2023年4月より、Xルールへの違反が確認されたツイートには、ツイートの表示が制限されている旨が記載されたラベルが、ツイートの作者と閲覧者に表示されます。
ツイートの削除要請
ツイートがXルールに違反していて、なおかつその違反の程度が深刻で、削除するのが妥当であると判断された場合、当社は違反者にそのツイートの削除を要請します。違反者はそのツイートを削除するまで、新たにツイートすることができなくなります。
ツイートへのラベルの適用
ツイートに、Xポリシーの定める誤解を招く情報や真偽が問われている情報が含まれており、実害につながる可能性があると判断された場合、利用者に背景情報や追加情報を提供するため、そのコンテンツにラベルを適用することがあります。
引用・参考:X:ヘルプセンター
誹謗中傷を防ぐための心構え
誹謗中傷を防ぐための心構えについては、政府広報オンラインのホームページでも紹介されています。ここでは、情報を取捨選択する能力であるメディアリテラシーについて見ていきましょう。
SNS利用時の注意点
誹謗中傷を防ぐための心構えについては、政府広報オンラインのホームページでも紹介されています。ここでは、情報を取捨選択する能力であるメディアリテラシーについて見ていきましょう。
SNSは情報収集がかんたんになり、遠くはなれたひととのコミュニケーションがより気軽になり、現代社会において欠かせないツールとなりつつあります。
その一方で、安易な気持ちで投稿が、誹謗中傷や炎上に繋がってしまったり、誤った情報や偏った情報の拡散してしまうリスクもあり、活用と注意のバランスが必要です。
もし自分が同じことを言われたらどう感じるか
たとえば、友達や自分と面識のない人が自分の容姿について否定的なコメントをSNSに投稿したと想像してください。その投稿を見たとき、あなたはどう思うでしょうか?その気持ちを考えれば、他人に対しても発言には注意が必要だとわかるはずです。投稿する前に考える必要があります。
誰の投稿に安易に同調したり、拡散はしない
ある著名人への批判する内容の投稿に「いいね」を押したり、リツイートしたりすることは、一見無害に思えても、その批判を助長する可能性があります。自分の行動が誹謗中傷の拡散に加担する可能性があることを意識することが大切です。
SNSの先の相手も生身の人間です
相手が芸能人や有名人だから「目立つ存在なんだから仕方ない」という主張は通用しません。たとえば、 人気の俳優が映画で演じた役柄に批判が集まったとしても、それはあくまでも映画の役柄上の話です。その俳優個人の人格を攻撃する内容を投稿するのは許されません。どれほど有名であっても、相手も同じように傷つく人間であることを忘れてはいけません。
他人を傷つけないためにも、次のようなことに注意する必要があります。
(1)誹謗中傷と批判意見は違うことを考える
相手の人格自体を否定または攻撃する言い回しは、批判ではなく誹謗中傷です。
また、他人の投稿を安易に再投稿したりしないようにしましょう。投稿された内容を正しく見極め、慎重に投稿や再投稿しましょう。
(2)匿名でも特定されます
対面や実名では言えないような攻撃的な表現は、SNSでも避けましょう。
たとえ匿名の投稿であっても、技術的に投稿の発信者を特定することができるため、民事上・刑事上の責任を問われる可能性があります。匿名だからといって、何を言ってもいいというわけではないのです。
(3)カッとなったとしても時間を置きましょう
投稿が炎上したり訴えられたりした後に、「あんな投稿しなければよかった」と悔やんでも時間は戻せません。勢いですぐに送信せず、一度時間を置いて投稿を見直すような習慣をつけましょう。また、ネットから離れ、誰かと話して気分転換をすることもおすすめですよ。
引用・参考:政府広報オンライン
メディアリテラシーの重要性
SNSの誹謗中傷防止のために求められるのは、「メディアリテラシー」です。メディアリテラシーとは具体的にどのようなもので、なぜメディアリテラシーが重要とされているのでしょうか。
「本当にこの情報は正しいの?」立ち止まって確認することが「メディアリテラシー」
リテラシー(literacy)とは、もともと「読み書きの能力」を表す言葉です。 現在は「ある分野に関する知識やそれを活用する能力」のことを指します。
メディアリテラシーとは、インターネットやSNSから得られる情報を、ただ受け入れるのではなく、「本当にこの情報は正しいのかな?」と立ち止まって考え、確認する能力のことです。
現代では誰もがかんたんに情報を発信し、また受け取ることができます。そのため、正しい情報と間違った情報が混ざり合っています。このような状況で、情報をうのみにしてしまうと、間違った情報に振り回されてしまう危険があります。メディアリテラシーは、情報の海で溺れないための、いわば"泳ぎ方"のようなものです。この力を身につけることで、必要な正しい情報を見分けられるようになります。どんな情報が間違っていて、どんな情報は正しいのかを見極める知識が必要です。
メディアリテラシーを身につける方法
【情報の読解力を身につける】
膨大な情報の中にはフェイクニュースや不正確な情報も含まれています。こうした状況に対応するには、情報の正誤や発信者の意図などを、読み解く能力を高めることが必要です。
読み解く能力を高めるためには4つのポイントがあります。
1 情報の発信元を確かめる
メディアの情報に疑わしいものがあったら発信者や情報元を確かめましょう。
公的な機関が責任をもって発信した情報かどうかを確かめることは、正確性を保つために大切なことです。
2 発信者の意図について考える
「なぜ、そんなことを発言したのだろう・・・?」このように、発信者にどのような意図があるのかを考えましょう。発信者になったつもりで意図を推測することは、メディアリテラシーの向上にもつながります。
3 事実と意見は区別する
「有名な〇〇さんが言っているから本当だ」事実は本当にそうでしょうか?
事実と意見は区別して受け取りましょう。情報には個人的な意見が混ざって伝えられることがあります。一意見を鵜呑みにしてしまうと受け取った時点で間違いが発生し、誤った情報が広まってしまいます。
4 偏らないこと
同じ話題の情報だとしても、伝え手の数だけ表現が異なり、受け手の印象も変わります。偏った意見に寄らないためにも複数の記事や意見を比べて、共通しているところを見抜きましょう。また、他の見解にも目を向け、反対意見にも意識を傾けてみましょう。違う方向から情報を確認することで、今まで見逃していたポイントを発見することもあります。
児童・生徒・保護者・教職員のためにメディアリテラシーを向上させるための講座(総務省推奨のe-ネットキャラバン)もおすすめです。
参考:e-ネットキャラバン:https://www3.fmmc.or.jp/e-netcaravan/
誹謗中傷に関する最近の動向
法改正の動き
2024年5月にプロバイダ責任制限法の改正法が公布され、情報流通プラットフォーム対処法となりました。どのように改正されたのか。その内容について、わかりやすく要約します。
【主なポイント】
・大手SNSや掲示板運営会社に新たな義務が課されました
・目的は、インターネット上の誹謗中傷への対策を強化すること
【具体的な対策】
1.削除申請への迅速な対応
・削除申請から14日以内に判断を通知
・判断の基準を事前に公開
2.体制の整備
・専門の調査員を配置
・削除申請の受付方法をわかりやすくする
3.透明性の確保
・削除の判断基準を公開
・削除状況を年1回公表
【対象となる企業】
・大手SNS運営会社
・大規模な掲示板運営会社 ※具体的な基準は今後決定
参考:総務省:情報流通プラットフォーム対処法(プロバイダ責任制限法の⼀部改正)の概要
この法改正により、ネット上の誹謗中傷被害者の救済を早める効果が期待されています。
法改正による影響
まず、良い変化として、SNSや掲示板での悪口や中傷の投稿がより早く削除されるようになります。これにより、被害を受けた人の心の負担が減ります。また、どのような投稿が削除されるのかも明確になるため、利用者にとって分かりやすくなります。
一方で、心配な点もあります。投稿を削除しすぎることで、自由な意見交換ができにくくなる可能性があります。また、SNSや掲示板を運営する会社は、新しい人員を雇ったり、システムを改修したりする必要があり、その負担が大きくなります。この負担のせいで、新しく事業を始めようとする会社が減るかもしれません。
さらに、これからも考えていかなければならない問題があります。たとえば、海外の会社にこの法律をどう守ってもらうのか、新しい形の誹謗中傷が出てきたときにどう対応するのかといった課題も今後でてくるでしょう。
企業の取り組み事例
やわらかい表現変換や注意喚起の機能開発
文字入力アプリ「Simeji」を開発した企業は、表現が強く、誤解されやすい文章の投稿を防ごうと、2024年8月から新たな機能を搭載しました。
たとえば、「だからなに?」と打つと、「なるほどね、それからどうしたいの?」とやわらかい表現の文章が変換の候補として表示されるほか、注意喚起も行います。
注意喚起のメッセージを出す機能(LINEヤフー)
配信されたニュースに閲覧者がコメントする際、文章の内容によって注意喚起のメッセージを出す機能を2024年9月に追加しました。入力されたコメントが投稿される前に、AIが該当する表現を抽出して表現を見直すよう促す仕組みです。
参考:不快と感じる可能性のある表現の見直しを提案 より健全な言論空間の実現に向けた独自AI「コメント添削モデル」のご案内
SNSによる誹謗中傷に関する相談窓口
SNS による誹謗中傷被害が増加傾向にある昨今、国やサポート団体などによる相談窓口が多く設立されています。ここでは、被害状況や相談内容に合わせた相談先をご紹介していきます。
公的機関の相談窓口
被害状況や相談内容に合わせた相談先をご紹介していきます。
まもろうよ こころ(厚生労働省)
悩みや不安を抱えて困っている方が、より気軽に相談できる窓口の紹介を行なっています。電話やメール、チャット、SNSなど様々な方法で相談することができます。
◾️いのちのSOS 0120-061-338 (おもいささえる:フリーダイヤル・無料)
月曜日~日曜日 00:00~24:00(毎日24時間)
「死にたい」「消えたい」「生きることに疲れた」などの気持ちを専門の相談員が受け止め、状況を整理し、必要な支援策などについて一緒に考える機関です。
参考:https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro
違法・有害情報相談センター(総務省)
相談者自身でおこなう削除依頼の方法など、より迅速なアドバイスを受けることができる機関です。インターネットに関する専門的な知識や経験のある相談員が対応しています。人権侵害に関することだけでなく、SNSに関する問題に関して幅広いアドバイスを受けることができるのが特徴です。相談は主にインターネット上で行います。
人権相談(法務省)
相談者自身による削除依頼の方法などのアドバイスだけでなく、法務局によるプロバイダなどに対する削除要請を行うことができます。この、削除要請は専門的な知見から法務局が違法性を判断した上で行なっています。そのため、違法性の判断に時間を要する場合があります。相談は、全国の法務局での面談や電話、インターネットで行います。
誹謗中傷ホットライン(セーファーインターネット協会)
民間のインターネット企業の有志によって運営されています。誹謗中傷の相談を受け付け、一定の基準に該当すると判断されたものは、国内外のプロバイダに対して各社の利用規約などに沿った対応を促す要請を行います。相談はインターネット上で行い、その後のやりとりはメールで行います。
参考:https://www.saferinternet.or.jp/bullying
書き込んだ人に賠償などを求めたい場合
弁護士に相談してみましょう。
身の危険を感じる時や犯人への処罰を希望する場合
最寄りの警察署やサイバー犯罪相談窓口に相談するとよいでしょう。
参考:https://www.npa.go.jp/cyber/soudan.html
サポート支援団体
インターネット上の誹謗中傷で悩んでいる方を支援する主な団体をご紹介します。
【法的支援を受けられる団体】
・電話番号:0570-078374
・サポート内容:
・無料の法律相談
・弁護士の紹介
・費用面での支援制度の案内
インターネット人権相談窓口(法務省)
・電話番号:0570-003-110
・サポート内容:
・専門家による相談対応
・削除要請のアドバイス
【心理的ケアを受けられる団体】
いのちの電話(全国相談窓口)
・電話番号:0120-783-556
・サポート内容:
・24時間年中無休の電話相談
・心理的なサポート
これらの支援団体では、専門家による適切なアドバイスを受けることができます。一人で悩まず、ぜひ相談しましょう。
※電話番号やサービス内容は変更される可能性があります。最新情報は各団体のウェブサイトでご確認ください。
イオンモバイルのセキュリティサービス
SNSでの誹謗中傷への対策として有効な方法が、インターネットの閲覧制限をかけるフィルタリング機能です。イオンモバイルではセキュリティサービスとして「イオンモバイルセキュリティPlus」を提供しています。それぞれについて以下で解説します。
イオンモバイルセキュリティPlusのご案内
イオンモバイルセキュリティPlusはイオンモバイルが提供する新しいセキュリティサービスです。スマートフォンの専用ブラウザにくわえて、SNS上で起動するブラウザにもフィルタリング機能が使える新しいフィルタリングサービスです。保護者はアプリ上でフィルタリング設定がかんたんにできます。
【主な機能と特徴】
1.SNSでの安全確保
・SNSアプリ内のブラウザでも有害サイトをブロック
・危険なメッセージやリンクを自動検知
・フィッシング詐欺サイトへの接続を防止
2.お子さまの保護機能
・アプリの利用制限が可能
・利用時間の管理ができる
・位置情報の確認ができる
・緊急時のリモートロック機能
3.セキュリティ対策
・ウイルス対策(Android)
・マルウェア対策(スマホがウイルスに感染する前に遮断する機能)
・不正アクセスの防止
【月額料金】 220円(税込)
本記事でご紹介している、SNSの誹謗中傷から身を守る手段の一つとしてのフィルタリング機能だけではなく、フィッシング詐欺サイトなど有害サイトのブロック、マルウェア対策やセキュリティ機能、位置情報確認機能や紛失時のリモートロック機能も搭載しています。
まとめ
SNSは匿名性が高いことにより、誹謗中傷が発生しやすい環境です。誹謗中傷が投稿される場所はだれでも見られるコメントの場合もあれば、個人間のクローズドなやり取りの場合もあります。
誹謗中傷は、誰もが受ける側にもする側にもなり得るものです。気づかないうちに、相手を傷つけるような言葉を発信してしまうこともあれば、自分がその言葉のターゲットになることもあります。
たとえば、何気なくSNSに投稿した意見が、誰かにとっては批判や攻撃と受け取られることがあります。また、反対に、自分が不快に思った内容に感情的に反応し、相手を攻撃してしまうこともあります。
大切なのは、「自分の発言が相手にどう影響するか」「自分ならその言葉をどう感じるか」を常に考えることです。誹謗中傷は、発信者も受信者も傷つけるものです。冷静に行動し、互いを尊重する姿勢を持つことが必要です。
また、誹謗中傷のトラブルに巻きこまれないよう、自分の身を守る知識を得て対策をしましょう。万一、トラブルに巻きこまれたとしても、慌てることなく、SNSの設定の見直しや国や企業が運営している相談窓口に問い合わせするなど、冷静に対処するよう心がけましょう。
イオンモバイルでもフィルタリングサービス提供をしております。ご利用いただくことで、子どもがSNSで巻き込まれやすいトラブルを早期に把握し、見守ることができます。
お近くのイオンの店舗でもサービスのご案内やサポートをしております。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
※当ページの内容は2024年12月時点の情報です。