格安SIMは低コストでスマートフォンを利用できますが、通信速度が遅いのではないかと不安に思っている人も少なくありません。この記事では、格安SIMの通信速度について詳しく解説します。あわせて、格安SIMの通信速度は安定しないと思われる理由や速度が遅い場合の対策についても解説するので、参考にしてください。
スマートフォンにおける通信速度とは?
スマートフォンにおける通信速度とはどういうことなのか、くわしく解説します。
通信速度を表すbpsとは
「bps」とはインターネットにおける通信速度を表す単位です。これは、「bits per second」の頭文字をとった言葉で、1秒間にどのくらいのデータ量を転送ができるのかを表しています。bpsの数字が大きければ大きいほど1秒間に送れるデータ量が多くなるため、通信速度は速いという意味になります。
「Mbps」という単位もありますが、こちらはbpsにメガ(M)が付いたものです。メガとは単位の1つで、100万倍を意味します。さらに大きい単位としてギガ(G)があり、1,000Mbpsで1Gbpsとなります。スマートフォンなどのモバイル通信の場合にはMbpsが、光回線の場合にはGbpsがよく使われます。
快適にスマートフォンを使うための目安
実際にスマートフォンを快適に使うための通信速度の目安について解説します。
メールやチャット
メールやチャットを快適に使える通信速度としては1Mbps程度あれば十分でしょう。テキストのみであれば128kbps程度でも問題ありません。しかし、画像などの添付ファイルがあり、ファイルをダウンロードする場合には1Mbpsは必要です。
Webサイトの閲覧
Webサイトの閲覧は、1~10Mbps程度の通信速度があれがよいとされています。テキスト中心で画像などの少ないWebサイトであれば1Mbpsでも支障はありません。画像や写真などがメインのWebサイトでは最低でも3Mbpsあると安心です。
動画を見る
動画を視聴する際には、1Mbps程度の通信速度が求められます。ただし、視聴する動画の画質によって求められる通信速度は変わります。通常であれば5~10Mbpsで十分ですが、高画質動画を楽しむのなら10~20Mbpsが目安です。
格安SIMの通信速度は安定していない?
格安SIMの通信速度は安定しないのではないか、というイメージを持っている人もいるかもしれません。ここでは、なぜそのようなイメージが付いているのか解説します。
格安SIM事業者(MVNO)は回線を借りて運営している
格安SIM事業者(MVNO)は、キャリアから回線を借りて運営しています。そのため、MVNOは、自前で通信設備等は不要です。ちなみに、キャリアとは、docomoやau、ソフトバンクといった大手の通信事業者のことです。尚、MVNOは、利用者数や通信量に応じて、適切な接続帯域が必要となり、その必要な接続帯域を接続料として、キャリアに支払うことで回線をレンタルしています。このように、通信サービスの提供に必要な接続帯域をキャリアからレンタルして運営しているため、設備費や維持費などがかからず、その分キャリアよりも料金が安く済みます。
また、キャリアからレンタルする接続帯域が通信速度に大きく影響します。
接続帯域を増やすことで通信速度は速くなりますが、その分キャリアに支払う接続料が増えるため、利用者数等に応じて適切な接続帯域を用意し、低価格でのサービスを提供しています。
そのため、利用者数が増える時間帯では、接続帯域が不足し、通信速度が著しく低下する場合があります。
MVNOによって速度は違う
MVNOごとにキャリアから借りている接続帯域の量は異なり、接続帯域を多くレンタルしているMVNOでは速度が速く安定しやすくなります。
MVNOの同時間帯のユーザー数によっても速度は変わり、利用者が多い時間帯では速度が低下しやすい傾向があります。混雑する時間帯の速度を速くしようとすると低価格を実現できないため、全体最適として接続帯域の量を決めています。
また、MVNOの利用者の属性によっても、時間帯による速度が変わります。例えば、主婦やシニア層が多いMVNOは時間帯による変動は少ないですが、サラリーマンが多ければ夜間や通勤時間帯の速度が遅くなります。
場所や時間によっても通信速度は変わる
通信速度は場所や時間の影響も受けやすいという特徴があります。たくさんの人が使用するような場所、例えば人口の多い都市部や駅などでは、キャリア自体の通信速度が遅くなりやすいので、MVNOの通信速度も遅くなります。また、多くの人が使う時間帯、通勤時間帯やお昼休み、仕事や学校が終わった夕方から夜間などの時間帯は利用者が多く、通信速度は遅くなりがちです。
回線が混むときは格安SIMは不利になることも
たくさんの人がアクセスするような場所や利用者が多い時間帯では、格安SIM利用者が不利になるケースもあります。キャリアでは、貸し出している回線の利用者よりも自社ユーザーを優先する傾向があるため、回線が混むような場所・時間帯では通信速度が遅くなる場合もあるようです。
格安SIMでも通信エリアや音声通話の質は同じ
格安SIMでは、上記のような事情から通信速度が遅くなる可能性もあります。しかし、格安SIMであっても通信エリアや音質品質などはキャリアとの違いはありません。例えば、docomo回線をレンタルしている場合には、docomoが提供している通信エリア内であれば、通話の音質も変わらないです。
格安SIMで通信速度が安定しないときの解決方法
格安SIMの通信速度が安定せずに悩んでいる人もいるでしょう。回線の問題については回線変更をしなければ解決しないため、どうしても安定しない場合は、契約回線の変更を検討しましょう。しかし、端末側からのアプローチで解決する場合もあります。ここでは、端末側から通信速度を改善するための方法を4つ解説します。
機内モードにする
通信速度が安定しない場合には、最も簡単な手段として、機内モードにしてみましょう。機内モードにすると、一度電波が遮断されて、新たに電波を探すため、電波状況が改善する場合があります。急に通信速度が遅くなったり、通信が安定しない場合には、機内モードを試す価値はあります。
端末を再起動する
通信速度が安定しない場合には、一度端末をシャットダウンして再起動してみましょう。スマートフォン自体のエラーで遅くなっている可能性もあるため、再起動によって改善されるケースもあります。また、シャットダウンをすると余計なキャッシュや必要ないメモリが削除されるため、端末の動作が軽くなる可能性もあります。
無駄なデータやキャッシュの削除
端末内のデータが制限ギリギリになってしまうと、端末自体の動きが悪くなり通信速度が安定しません。写真や動画などといったファイルは容量が大きいため、たくさん撮るとデータ容量はすぐにいっぱいになってしまいます。また、アプリを多く起動するとキャッシュがたまり、動作が重くなります。
写真や動画をクラウドストレージなどに移動する、キャッシュを削除するなどしてみましょう。端末の動きが軽くなり、通信速度が安定する可能性があります。
場所を変える
かんたんにできる解決方法としては、利用する場所を変えてみることが挙げられます。上述したように、通信速度は人がたくさん集まるような場所では遅くなりがちです。また、電波が弱い場所、例えば地下などでは通信速度は安定しません。そのため、可能であれば人の少ない場所に移動する、電波の弱い場所を避けて使用するとよいでしょう。
場所を移動すれば管轄の基地局も変わるため、通信が再開して安定する可能性もあります。
初期化する(工場出荷状態に戻す)
ここまでで紹介した方法を試しても改善しない場合には、最終手段として端末を初期化してみましょう。工場出荷状態まで戻せば、通信速度が改善するケースもあります。
ただし、初期化すると、スマホ内のデータ、例えば撮影した写真や動画、アプリやメモ、スケジュールなどはすべて消去されます。そのため、初期化する際には必ずバックアップを取っておきましょう。端末が古すぎる場合など、初期化しても改善しないケースもあります。
まとめ
今回は、格安スマホの通信速度に関してご紹介しました。「格安=安定しない」というわけではないことがわかったのではないでしょうか。次の記事では、格安スマホでよく聞かれる用語について解説していきます。
格安スマホや格安SIMの用語を理解することで、より深く内容を理解することができます。家計節約のためにも理解を深めていきましょう。